賃貸へのこんな質問

 「ところで、立地条件で気になるのが周りの環境よ。もちろん、近くに公園や病院とか、市役所なんかの公共施設があったほうがいいわよね。で、駅やショッピングセンターも近いほうがいいけど、そんなになにもかもっていうわけにはいかないじゃない?」「うーん、ボクとしては、やっぱり通勤時間がかからないほうがありかたいなあ。自然環境に恵まれているのはいいけど、通勤時間がいまの一心分からいきなり倍になったらつらいよ。まあ、2時間かけて通ってくる人もいるけど、これからローンのためには仕事ももっとがんばらなくちゃならないわけだ。残業時間が長くなって、通勤時間がかかれば、当然家に帰るのが遅くなる。まして駅からさらにバスに乗る、なんていうのは絶対にいやだな。帰りが遅くなれば、Y太をお風呂に入れることもできなくなるし、夕食も別となれば、Y子さんの負担も大きくなるよね」

「うーん。そりゃあ通勤時問が一気に倍っていうのは、最初は大変だろうけれど、みんなそれをガマンしているわけでしょ。だいたい、通勤に1時間もかからないなんて、いくら社宅だっていまどきめずらしいんだから。私だって結婚してこの社宅に入るまでは、1時間10分かけて通っていたのよ」

「いや、なにも、1時間半になったら絶対にいやだ、と言っているわけじゃないさ。ただ、ボクも大変だけど、Y子さんも大変になるよ、つてことだよ。いまの友だちとは遠くなるし、デパートへ買い物に行くのも、Y太を連れて長時間電車に乗っては、いまだって大変だって言っているじゃない」「でも、平日いっしょに夕飯食べたり、Y太をお風呂に入れたりできないのは、いまだってそうじゃない。それに、公園に行くのだって交通量がけっこ弓多いところを通って怖い思いをしていること、知っているでしょ。T史さんだって、この前そこの五差路で車に傑かれそうになったから気をつけてって、言っていたじゃない。第一、都心に近ければそれだけ高いのよ。同じ金額で郊外なら、間取りにもゆとりがあって、自然にも恵まれているところに住めるんだし、都心に近ければ物価だって高いのよ。私かまた仕事するようになれば、会社に近いほうが保育園の送り迎えは便利だし、収入もふたり分になれば多少は楽かもしれない。でも保育料っていうのも場所によってはけっこう多いみたいで、恵子なんかお給料がそっくり保育料になっちゃうから、なんのために働いてるんだか、ってこぼしてた」
「保育園のことはよく分からないし、自治体によってもだいぶ違うようだから、なんともより、データは平成7年)。言えないけど、でも、いまはY子さんが仕事に復帰する話じゃないだろ」「うん。だからね、Y太のためには大きな公園が近くにあるようなところがいいし、T史さんのためには電車に乗っている時問は多少かかるようになっても、駅の近くで、歩いていけるところで、私自身のことを考えれば、近くにショッピングセンターとかが充実しているところっていうのが理想なの。これは、あくまでも、理想よ」
どうやらふたりがそれぞれに望む「便利さ」には、差があるようです。 「ショッピングセンターにはアウトレットショップがあって、とか言わないだろうね」 「まさか、そこまでは。でも、役所の出張所とか、郵便局や銀行は雨でも苦にならずに歩いていける範囲にあってほしいわね。もちろん、小児科もね」「ほら、ほら。Y子さんだってけっこう、欲ばりじゃないか」「あら、理想だって言っているでしょ。だって、あんまり充実度が高いと、物価が多少高くてもそこを利用するようになりがちじゃない。それはいやなのよね」
「ふーん。ところで、実際に交友関係が変わっちゃうとか、不安にならないわけ?」

「あら、交友関係は広くなる、つて思えばいいじゃない。いつまでも同じ人とだけつきあっているより、いろんな人とお友だちになるほうが、Y太にだっていいに決まってるじゃない。T史さんの交友関係は、せまくても深くってタイプだけど、私は違うもの」「今度は友だちとのつきあい方講座かい?」
「ねえ、ケンカするために話してるんじゃないんだから……あ、さっき、バスのこと言っていたじゃない?去年、団地みたいに大規模なマンションに引っ越してった山本さん、買う前は入居者が多いからバス便がふえますよって、言われていたそうなんだけど、実際には売れ残りが多くて、バス便はふえないで終バスが8時台で、空き部屋があるからなんだかさびしいし、大変だって」「8時台の終バスなんて、たまらないな。会社を出る前に終バスが行っちゃうじゃないか」「そんなこともあるわよね。
で、遅くなったときは由美子さんが車で迎えに行くらしいのよ。でも、けんかしているときには孝さんは迎えを頼めないし、由美子さんは気にしてはいるけど、『迎えに行こうか』 つて携帯に連絡するのもシヤクだし、かといってタクシーで帰ってこられたんじゃ、タクシー代が1000円以上かかるとかで……。ねえ、笑いごとじゃないのよ。私たちだってそうなるかもしれないんだから」「山本さんは、あの墓地の隣に新しい街ができる、とか言っていた人だろ?」
「墓地の隣は、高校のバレー部時代の友だちの知恵でしょ。なにも、墓地の隣なんか、と思うんだけど、東南向きで日当たり最高、とか言っていたわ」
「東南か。やっぱり、東南の角部屋っていうのがいいんだろうね」
「もちろん」「お、やっと意見が一致したね」「いくらなんでも北向きがいい、なんて言わないわよ。日当たりのいい東南で、風通しもいい角部屋、いいわよねえ……。日当たりのよさを考えるなら、やっぱり郊外よ」「うむ、そこへ戻ったか……」いつまで話し合っても、ふたりの意見は平行線。 どこかで折り合いをつけなくては、と思っていますが、お互いの希望をはっきりさせておいたほうが、後になって不満が出るよりよい、と考えています。
週末に、また卜部氏がM宅を訪れてくれることになっていましたから、マンションの立地条件や周辺環境について、参考意見を聞くことにしました。 用途地域の重要性について説く。
前回同様にM宅を訪れてくれた卜部氏、ふたりの話を聞いて、見落としがちな用途地域こそ周辺環境の決め手、と説明。 「論外とされる北向きにも見るべきものがある」と熱が入ります。

 通勤条件と生活環境、両方に都合がいい、という物件はまずない。 だから、どっちを優先するかは、ふたりでよく話し合うしかないね。
そのとき、いまのことばかりにとらわれず、3年や5年、10年先のことまで冷静に考えてみるのが大事だよ。  ところでまわりの環境っていうと、すぐに病院があるとか、学校が近いっていう話になっちゃうけど、まず、もう少し広い目で見てみよう。
 マンションを建てる場所が、どういう場所か、それは用途地域を見れば分かる。 工業地域にマンションを建てるっていうことはまずないだろうけど、準工業地域では、工場が近くにあったり、商業地域、近隣商業地域では、音などの規制が住居川の地域よりも緩やかなのだから、騒音、大気汚染、トラックの通行、などが考えられる。
 ただし、準工業地域は比較的規模が大きなマンションが建つ場合が多い。 緑地帯も大きくコミュニティとしての規模も大きい社会環境の維持整備を目的とした規制。

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